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設立の趣旨〜私たちが目指すもの

アディクションに苦しんでいる人は社会にたくさんいる
アルコール依存症82万人(厚生労働省研究班 2003)、薬物依存症10万人(総務省 2009)、ギャンブル依存150〜200万人(全日本遊技事業協同組合連合会 2004)などの推計が示すとおり、いまや依存症は日本の抱える大きな問題となっています。すでに12年連続で自殺者が3万人を越えていますが、自殺者の3割にはアルコールが高濃度で検出され、依存症(アディクション)と自殺の関係を指摘する研究者もいます。違法薬物の使用は犯罪に直結し、ギャンブルで作った借金が原因で自殺する人は後を絶ちません。1人の依存症者のまわりには、その病気の影響を受ける人が多数存在します。アディクションを持つ親の元で育った子どもは、その影響を一生抱えることになります。
こうしたアディクション(依存)は個人の問題にとどまらず、社会全体の医療・福祉費用の増大、労働生産性の低下、治安の悪化など社会コストの増大を招いています。

その多くは回復があることすら知らない
しかしながら、アディクションに対する対策は遅れています。アルコール依存症を例にとると、医療機関で治療を受けている人は5万人にすぎません(厚生労働省患者調査 2004)。薬物依存患者を受け入れる医療機関は全国的にもわずかしかなく、ギャンブル依存に至っては治療の取り組みがようやく始まったばかりです。十分な対策がなされないまま、事態は深刻化しています。
こうした状態のなかで機能してきたのが「相互援助(自助)グループ」と呼ばれる当事者たちのグループです。お互い支え合うことにより、当事者はアディクションそのものからの回復を、家族はアディクションから受けた影響からの回復を目指していきます。医療は回復初期の一時期に関わるのに対し、相互援助(自助)グループは年単位、時には一生のスパンで関係を持っていきます。また、医療とは別の民間の「回復施設」も広がっており、アディクションから回復したスタッフがその経験を生かしてケアにあたっています。医療機関・相互援助(自助)グループ・回復施設は、お互いの特性を生かし相補的にアディクションからの回復に取り組んでいます。

「回復可能な社会」を目指して
社会はアディクション問題を「個人の責任」とみなしがちですが、それは放置すれば悪化を招き、結局は社会保障費の増大として社会に跳ね返り住みにくい社会を作る原因になってしまいます。人によりアディクションになりやすい体質・なりにくい体質はあるものの、極論すれば誰でも条件が整えば何らかのアディクションを発症する可能性があります。例えアディクションになったとしても「回復しやすい社会」を作ることは社会全体の責任です。
残念なことに、未だにアディクションそのものが正しく一般に知られていません。また、回復のために必要な社会資源である相互援助(自助)グループや回復施設の存在も知られていません。そのために、回復できることも知らず、長く苦しみ続け、最後には死んでいってしまう人も少なくありません。
この問題に最も関心を寄せているのは、他でもない回復中の人たちです。県内の各種相互援助(自助)グループのメンバー、回復施設のスタッフ、それに関心のある市民が集って自分たちの力を合わせて活動していく。その集まりが「信州アディクションセミナー」です。
私たちはアディクションについての正しい知識を学び、それを知らせ、回復を必要とする人と人とをつなぐことで「回復可能な社会」の実現を目指します。
(2010年4月1日)

事務局・実行委員会構成メンバー

事務局
中山 進 (共同代表・事務局・アルコール依存症当事者)
中山 理美(共同代表・事務局・アルコール依存症の親の元で育ったAC)
実行委員会メンバー(事務局含む)
・アルコール本人‥‥7名
・薬物本人‥‥1名
・ギャンブル本人‥‥4名
・ギャンブル家族‥‥2名
・アダルトチルドレン‥‥3名
・摂食障害‥‥1名
・一般市民‥‥1名

2015年3月に第一期実行委員会は解散し、その活動は信州アディクションセミナーながの実行委員会に引き継がれました。

信州アディクションセミナー実行委員会